気がつくと、全裸でベッドに寝かされていた。
 隣に横になっていたお兄ちゃんが、顔を覗き込んでいる。
「お兄ちゃん……あ、あたし……?」
「イったの、初めてか?」
「ん……」
 こくんと、小さくうなずいた。
「風呂の中でずっとあんなことして興奮しすぎたせいで、のぼせて倒れちゃったんだよ。ごめん、やりすぎた」
 口では謝りながら、お兄ちゃんは全然すまなそうな顔をしていない。むしろ、楽しそうに笑っている。
「でも、舞衣ちゃんって感じやすいんだな。それに、感じてる時の顔がすごく可愛いよ」
「あ、ぁんっ……やぁ……」
 お兄ちゃんの手が、あたしの股間に伸びてくる。太腿の間に滑り込む。
「ここ、まだ濡れてる」
「や……だぁ……ぁん」
 まだ火照りと潤いが残っている女の子の部分に、指が入ってくる。
「おにい……ちゃ……あっ!」
 鋭い刺激に、身体がびくっと震えた。
 また、感じてしまう。切ない声が漏れる。
「あ……あぁ……あ、ん……んん……」
 開かれた唇が、お兄ちゃんの口にふさがれる。
 キスをしながら、お兄ちゃんの指は愛撫を続けている。
 声を上げたいのに口を塞がれていて、息が苦しくなってくる。
 唇を重ねたまま、舌を絡めたまま、指で身体の中をかき回される。
 感じてしまう。どんどん、気持ちよくなってきてしまう。
 また、あの気が遠くなるような快感が襲ってくるのかと思うと、少し怖かった。
「そろそろ、いいか?」
「え?」
「最後まで、するよ」
「……あ」
 そうだ。
 まだ、最後までしていない。
 指で触られただけ。これはまだ、本当のセックスではない。
 お兄ちゃんのペニスが、あたしの中に挿入されて。
 処女膜が破られて。
 二人の身体がひとつにつながって、それで初めてあたしは「女の子」ではなく「女」になれるのだ。
 正直、怖かった。
 指を深く挿入された時でさえ、ちょっと痛くて、きつい感じがした。
 お風呂の中で触ったお兄ちゃんのものは、指の何倍も太くて、すごく長かった。
 あんなに大きなものが、本当に私の中に入るのだろうか。女の子の膣って、本当にそんなに拡がるのだろうか。
 無理やり拡げられて、すごく痛いのではないかという気がする。
 それでも。
 それでも、したかった。
 お兄ちゃんとセックスがしたい。ちゃんと、オトナにして欲しい。
 そのためにならどんなに痛くてもいいやって、そんな気持ちになっていた。
「う、……うん」
 あたしはこくんとうなずいた。声が、少し震えていた。
「……して。ちゃんと、最後まで……お兄ちゃんにして欲しいの」
「ありがと」
 お兄ちゃんが、あたしの脚を開かせる。嬉しそうな笑みを浮かべていたけれど、どことなく緊張しているようでもある。もちろん、あたしはその何倍も緊張している。
「あ、ん」
 脚を大きく開かせると、その間に身体を入れてきた。
 腰に手を回されて、お尻を少し浮かすような体勢にさせられる。
 この体勢だと、いちばん恥ずかしい部分をもろに見られてしまう。
 そこはお兄ちゃんにさんざんいじられて、とろとろにとろけてしまっている。ぬめりを帯びたエッチな液が、お尻の方まで流れ出しているのがわかる。
 そんなところを見られるのは、女の子にとってこれ以上はないという恥ずかしさだった。お兄ちゃんの顔をまともに見ることができなくて、あたしは顔を背けた。
「あっ……あ、ん……ん、あぁん」
 両脚の間、流れ出る蜜の源に押しつけられるものがある。指よりもずっと大きくて、硬い弾力がある。
 お兄ちゃんの、男の人の部分。あたしを、オトナにしてくれるもの。
「ん……んんっ……くふっ」
 だんだん、力が込められてくる。
 まだ何者にも侵されたことのない領域に、侵入しようとしている。
 拡げられていく。
 力ずくで、押し拡げられていく。
 あたしの胎内へと続くトンネルに、もぐり込んでくる。
「い……く……ぅぐぅ……んっ、い……ぃ……」
 膣口をいっぱいに拡げられて、だんだん痛みが増してくる。もうこれ以上は無理だと思ったのに、さらに無理やり押し込まれてしまう。
「あっ……あぁっ! んぐ……ぅ……あぁ――っ!」
 あたしの中で、異性の侵入に拒み続けていたなにかが引き裂かれた。
 激痛が走る。
 身体の一番深い部分まで、太い杭で一気に貫かれたような感覚だった。
「あぁっ! うぁっ、あぁーっ! あぁぁ――っ!」
 入り口から奥まで、膣が一杯に拡げられている。
 硬い、太い異物が、その中を満たしている。
 反射的に収縮しようとする膣。それは胎内の異物の存在をより強く認識させ、痛みを増す効果しかなかった。
「お……おにぃ……うぁ……あんっ! んぐっ……あ……がぁ……」
 あたしは、覆い被さっているお兄ちゃんの身体にしがみついた。
 歯を食いしばって痛みに耐える。
 ずきん、ずきん。
 鼓動に合わせて、痛みが身体を襲う。あたしを貫いているものが、お腹の中でどんどん膨らんでいくような錯覚を覚える。
 ずんっ。
 一番深い部分を、突き上げられる。
 お兄ちゃんが、ふぅっと息を吐いた。
「……痛い?」
「い……たい……、痛いよぉ……」
 みっともない涙声であたしは応えた。
 涙が溢れて、頬を濡らしている。
「だろうね。舞衣ちゃんの中、すごくきつい」
「やだぁ……もう、やぁ……」
 本当は、泣き言なんて言いたくなかった。我慢して、お兄ちゃんにちゃんとしてもらいたかった。
 だけど、身体は悲鳴を上げている。
 もうやだって。抜いて欲しいって。
 無意識のうちに、身体が逃げようとする。だけど、お兄ちゃんの手がしっかりとあたしを掴まえていた。
「ごめん。最初だけだから、少し我慢して」
 お兄ちゃんの息が荒い。
「悪いけど……途中で止めたくないんだ」
「あぁっ、やっ……ぁん! んく……んっ」
 腰が押しつけられる。少しでも動かれるたびに、新たな痛みが襲ってくる。
 だけどお兄ちゃんは、動きを止めてくれない。
「おに……お兄ちゃんは、……気持ち……イイの?」
「すごいイイ。舞衣ちゃんのおまんこ、めちゃくちゃ気持ちいい。だから、最後までやらせて」
 その言葉にうなずく前に、お兄ちゃんの動きは少しずつ激しくなってきていた。
「い……あぁっ! んぐ……く、ぅん……あ、あたし……我慢するから……、い、イイよ……お兄ちゃんがいいように……して」
 あたしにはすごく優しいはずのお兄ちゃんが、泣いて痛がっているのに止めてくれない。止めたくないって言っている。
 そんなに、気持ちいいのかなって。
 そんなに、あたしとしたいのかなって。
 そう思ったら、どんな痛みでも我慢できそうな気がした。
「動くよ」
「……ん」
 息を止めて覚悟を決めて、襲ってくる痛みに備える。
 お兄ちゃんはあたしの太腿を抱えるようにして、腰を前後に動かしはじめた。
「あぁぁっ! あぁっ、あっ……あぁ――っ! あぁぁ――っ!」
 深く貫かれるたびに、一気に引き抜かれるたびに、あたしは叫び声を上げた。
 気持ちいいからじゃない。痛みに耐えかねての悲鳴だ。
 太い杭が、あたしの中を蹂躙している。乱暴に動いて、引き裂かれたばかりの襞を擦り上げる。
「あっ、あぁんっ! ひっ……い、ぁ……、く……ぅんっ、うぅっ……うんっ! あぁ――っ!」
 ベッドがぎしぎしと軋んでいる。
 それに混じって、ぐちゅぐちゅと湿った音がする。
 こんなに痛いのに、あたしは濡れているのだろうか。それとも、処女喪失の出血なのかもしれない。
「すげぇ、きつくて気持ちイイ……これなら、すぐいっちゃうよ」
「あっ、あぁっ、あっあっあんっ、あんっあんっあっ……っ!」
 お兄ちゃんの動きは、どんどん速く、激しくなってくる。
「あぁっ、あぁ――っ! あぁぁっ! あっあぁ――っ!」
 あたしは肺の中の空気を全部絞り出して、絶え間ない悲鳴を上げる。痛みによって発せられているのに、それは不思議なくらいAV女優の喘ぎ声に似ていた。
「あぁぁっ! あぁぁ――っ!」
 ずんっ! ずんっ!
 一番奥を、何度も何度も激しく突き上げられる。
 小さな身体がベッドの上で弾む。
 お兄ちゃんの腕にさらに力が込められる。同時に、お腹を突き破られそうなほどに深く打ち込まれた。
「……っ、舞衣っ……ちゃん!」
「ひぁぁっ、あぁぁっ! ひっ、――っ! あぁっ! あぁぁぁ――っ!」
 激しい動きが突然止まった。
 そう思った瞬間、あたしの中で、お兄ちゃんのものが膨らんで弾けたような気がした。
 びくっびくっと何度も脈打っている。
 その度に、あたしの中に流れ込んでくるものがある。
 あたしはベッドの上で身体を仰け反らせて、ぶるぶると震えていた。
「うっ……くぅ……う、あぁ……」
 大きく息を吐きだしたお兄ちゃんの身体から、力が抜けた。
 どさりと、あたしの上に覆い被さってくる。
 そのまま、苦しいくらいに強く抱きしめられた。
 あたしも、大きな身体に力いっぱいしがみついた。


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