下着の上から、玲に触られている。
それは、すごく気持ちのいいこと。
だけど。
気持ちいいからこそ。
身体は、さらなる快楽を求めてしまう。
「レイ……、直接……触って」
あとほんのちょっとのところで、痒いところに手が届かないような感覚。このままでは我慢できない。
「……いいの?」
「ん……」
やや躊躇いがちに、下着が少しだけ下げられる。玲の手が中に入ってくる。
優しい、ゆっくりとした動作。
「や、ン……」
エッチな茂みを手のひらで包み込む。そして、さらに奥へ進んでいく。
「……この、奥?」
「……ウン」
茂みをかきわけて脚の間にもぐり込んでくる手。
指先が女の子の部分に触れる。
「ひゃんっ! ……んんっ!」
心の準備はしていたはずなのに、触れられた瞬間、短い叫び声を上げてしまった。予想以上の刺激だった。
まるで、むき出しの神経を直に撫でられたみたい。
触れられた瞬間の、ぬるりとした感触。そこは自分で思っていた以上に濡れていたようだ。たっぷりと蜜を湛えた小さな割れ目の中に指先がもぐり込んでくる。柔らかくとろけた粘膜をかきわけて進んでくる。
「……ここが、セイの……マンコ?」
「ん……」
確かめるように、割れ目の中で指が小刻みに動いている。あたしは感極まって、玲のを握っていない方の手でぎゅっと玲の服を掴んだ。
「熱くって、ぬるぬるしてる……これって、濡れてるの?」
「はぁっ……んっ、莫迦……そんなこと、いちいち……訊かなくたって」
恥ずかしくて顔から火が出そう。ちょっと触られただけで流れ出すほどに濡れて、エッチな女の子って思われてしまう。
「……だって、普段がどんな状態なのか、知らないし」
「れ……レイも女の子なんだから、わかるでしょ」
「え?」
一瞬きょとんとした表情を見せた玲は、すぐに納得した様子で悪戯な笑みを浮かべた。
「だってあたし、なりたて新米の女の子だもん」
くすくすと笑う玲。あたしも小さく吹き出す。
「……女の子のこと、もっと教えてよ? これって濡れてるの? こうすると気持ちいいの?」
わざとらしく訊きながら、指の動きを少し大きくする。それでも気を遣っているのか、初めてのことで戸惑っているのか、どこか恐る恐る触れているという印象がある。
「莫迦……もう、ちゃんと覚えておきなさい。これはね……」
そこで、声を小さくする。誰に聞かれるわけじゃないけれど、大きな声で言うのは恥ずかしい。
玲の耳元に唇を寄せて、切ない吐息混じりにささやいた。意図したわけではないのに、自分でもびっくりするくらいエッチな声になった。
「…………気持ちよすぎて、めっちゃ濡れてる……って状態なの」
事実、湧き出す蜜は割れ目からあふれてお尻の方まで流れ出していた。
玲が嬉しそうに目を細める。
「じゃあ、レイのこれはどんな状態?」
手の中のものを優しく擦りながら訊く。
玲も先刻のあたしと同じように耳まで紅くなる。
淡いピンク色のリップクリームを塗った唇が躊躇いがちに開かれる。
「……もういっぱいいっぱいに勃起した状態」
「いちばん大きく、固くなった状態?」
「…………うん」
あたしも嬉しくなってしまう。
感じているのは自分だけじゃない。玲も気持ちよくなってくれている。どういうわけか、それがすごく嬉しい。
手を動かして、感触を確かめる。
かちんかちんに固くなっている。だけど金属やガラスのような硬さじゃなくて、固くて太い芯に薄い皮を一枚かぶせたような感じだ。
この中心に骨がないなんて、やっぱり信じられない。
熱くって、血管が浮き出て、小さく脈打っている。
女の子の身体にはない、不思議な器官。
「なんか、面白いねー」
クスクスと笑いながら手の中で弄ぶ。この手触りがまた楽しい。
「えー、それを言ったらセイのここの方が面白いよ。ちょっと触ったらこんなにぬるぬるになって」
玲の指が割れ目の中をかき混ぜる。くちゅくちゅと湿った音がする。その音がどんどん大きくなっていくような気がする。熱い蜜が、後から後から湧き出してくる。
「これって、どこから出てくるの?」
「これ、って?」
「……女の子の、愛液」
「ん……よくわかんない」
そんな会話を交わしながら、お互いの手は相手の性器に触れて動き続けている。お互い、どんどん昂ってくる。
「……ねえセイ、どこが気持ちいいの?」
「どこ、って…………全部」
正直なところ、濡れた割れ目の中はどこを触られても気持ちよかった。とにかく、もう、全部。
粘液にまみれた指が、端から端まで、探るように動いていく。
「クリトリスって……ここ?」
「やっ! あぁんっ! ――っ!」
小さな突起をつつかれる。
指の腹で転がすように擦られる。
「……そうっ! そ……こっ! イイっ、そこイイっっ!」
強すぎる刺激に、悲鳴じみた声を上げる。
手の中のものを思わずぎゅっと握ってしまい、玲がかすかに顔をしかめる。
「ご、ゴメン……。つ、続けて……あぁぁっっ!」
仕返しのつもりだろうか、一瞬、クリトリスをきゅっと抓られた。痛かったけれど、それ以上に気持ちよかった。
玲はすぐに力を抜いてくれて、二本の指で優しくつまんで転がしはじめる。
残りの指が、他の部分を探るように動く。
快感のレベルが一気に高まっていく。
「……ここが……入口?」
「う……っ、うんっ! あぁっ、そっ、そこもイイっ!」
膣の入口で、中指が円を描くように動く。その部分はひときわ感じるようだった。ベッドの上で身体が弾んでしまう。
「指……挿れて、いい?」
「え……?」
「中に……セイの中に……指、挿れてみていい?」
「え……、と」
さすがに躊躇した。
あたしはまだバージンで、ひとりエッチの時も、指を中に入れることはほとんどない。大抵は下着の上から触れるだけだ。
もちろん、試してみたことはある。中指の第二関節くらいまで。
それはなんだか不思議な感覚で、単に感度という点ではクリトリスに触れている方がずっとよかった。
だから指を挿入した経験は数えるほどしかない。
そこに、玲の指が入ってくる――そう考えると少し怖い。だけど今は、玲が与えてくれる快楽に夢中になるあまり、恐怖心が薄れていた。
好奇心が恐怖心と警戒心を凌駕する。
だから、
「ん……その、一本だけ、なら……」
そう答えた。
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