「……んっ!」
下着の上からあたしに触れてくる玲の指。
なんという偶然だろう。
最初に触れたその場所が、いちばん敏感な部分だったなんて。
そこに電流でも流れたような感覚に、身体がびくっと痙攣する。
一瞬離れた指が、もう一度触れてくる。今度はしっかりと押しつけられ、擦られる。
「あっ……やっ……」
「なに、その声? セイだって……感じてるんじゃない?」
「そ、そんなこと、ある、わけ……」
「なんとなく、湿っぽい気がするよ。……ぬ、濡れてるの?」
緊張のためか、玲の声もうわずっている。
「ち……ちが……」
違う、と強くは言い切れなかった。
反応を確かめるように動く指。よりによって、胎内に続く敏感な割れ目に押しつけるような位置で。
やばい。
ヤバい。
これはかなり気持ちイイ。
もとより、玲に触れて、男性器というものを初めて間近に認識して、気持ちが昂っていた状態だ。性感帯を刺激されたら簡単に反応してしまう。
「……っ、……」
動きを止めない玲の指。
本気で感じてしまう。エッチな声が漏れそうになる。
「……あ」
これを誤魔化すためには反撃しかない。よくいわれるではないか、攻撃は最大の防御と。
玲のスカートの中に入れたままになっていた手を動かす。下着の上から擦るように。
するとそこは、さらに大きさと固さを増したような気がした。
「……あ、姉のパンツ触って、もっと大きくしてンの? このスケベ」
玲の顔がさらに赤みを増す。
「……っ」
あたしのスカートの中で、指の動きが激しくなる。
「せ……セイこそ……、弟のモノ触って濡れてんじゃないの?」
「な、なに言ってんのよ!」
もう、「ふざけてちょっと触る」なんて状態ではなくなっていた。
自分よりも相手の方がエッチな気分になっていることを証明しなければならない。
相手をより感じさせたら勝ち。
相手より感じてしまったら負け。
いつの間にか、そんな雰囲気になってしまっている。
まったく、二人ともなにをやっているのだろう。
お互い後に退けなくなって、相手のスカートの中に入れた手を、気持ちよくさせるために動かしている。
実の姉弟で。
その場の勢いで。
だけど、もう止められない。
間近にある玲の顔が、ひどく色っぽい表情を見せていた。
上気した頬は朱に染まり、瞳を潤ませて、ピンク色の唇は半開きになって、切なげな声を漏らしている。
とても男の子とは思えない。
ちらりと、壁際にある姿見に視線を移す。
ちょうど二人の全身が映っている。
寄り添って立ち、相手のスカートの中に手を入れて動かしているその姿は、一卵性双生児の女子高生姉妹がレズってるようにしかみえなかった。
すごく、変な光景。
ひどく、奇妙なシチュエーション。
だけど……
間違いなくあたしは興奮していた。
玲に触られて
玲に触れて
そして、この不思議な光景を目にして
……すごく、興奮している。
その証拠に、ほら。
鏡に映ったあたしは、玲に負けず劣らず色っぽくてエッチな表情になっている。
「……あ、んっ……く、ぅん」
「は……ぁ、……ぁっ」
お互い、手の動きは止まらない。
堪えきれなくなって、妙に甘い声が漏れはじめる。
相手をより感じさせたら勝ち。
相手より感じてしまったら負け。
そんな意地の張り合いがエスカレートしてのこの状態。
だけどいつの間にか、その心理が変化しつつあった。
気持ちいい。
相手が与えてくれる刺激が気持ちいい。
もっと気持ちよくなりたい。
もっと気持ちよくして欲しい。
そのためには――
相手のことも、もっと気持ちよくしてあげなきゃならない。
――そんな気持ちになっていたのだ。
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